2010年ごろからいろいろな温泉に入ってきて、「ぬる湯」の素晴らしさに気づいてきました。
その中で改めてその良さを知ることができた温泉があります。
群馬県、尻焼温泉の「白根の見える丘」さんです。
こちらの宿主さんはぬる湯の良さをかなり説いており、お話を聞き、そして入浴して改めて「ぬる湯最高やな・・」と思うきっかけとなった宿です。
なお、残念ながら宿主の旦那さんが亡くなられてしまい、2024年上旬に宿も閉業となってしまいました。
- ぬる湯の心地よい温泉
- 紅葉の山々が望める貸切露天風呂
- こだわり素材の料理
こんな魅力を持った宿、今回はこちらの宿のすばらしさと個性的な宿主さんの魅力を振り返り記録と記憶に残していきたいと思います。
(2021年11月に訪れたときの記事です)
群馬県 尻焼温泉「白根の見える丘」
| 住所 | 〒377-1701 群馬県吾妻郡中之条町入山624 |
| TEL | – |
| 公式HP | 白根の見える丘 – 白根の見える丘 |
近くには誰でも入れる川風呂も
宿は草津白根山のふもと、東側にあります。
全国的にも有名な「草津温泉」からそこまで遠くない位置です。
宿に近くには、尻焼温泉の「川風呂」があり、誰でも入ることができます。

温泉が流れる「長笹沢川」。この川を少し上に行くと・・

湯気がもうもうと立ち込め入浴できる場所が!天然の露天風呂です。
ただ柵などがないため丸見えですね(笑 その分ロケーションは最高です。

横には小屋のような中で入れる温泉も。ただ、脱衣所も丸見え状態なのであんまし気軽には利用が難しそうでした。
ぬるめの温度だったので、人の目が気にならなければ最高の露天風呂になりそうです。
また水着でもOKのようですので、家族や友達、カップルでもゆっくり楽しめますね。
こだわりの強い宿主さん
川脇の道路をさらに上っていくと、

宿に到着。文字通り小高い丘にあり、見晴らしの良いところです。


宿の館内は古さを感じるものでしたが、汚いという印象はなかったです。
そして、チェックイン時に宿主のおやじさんが語りだします。
「ここの温泉はぬるいから、ぬるい温泉が一番いいから」と。
お話によると、日本人は海外に比べて熱い温泉に入る傾向があるらしく、そのせいで死亡率も高いそう。「日本人はバカなんだよ」と結構口が悪く・・(笑
確かに私も温泉の本で温泉の基準が日本は25℃に対し、ヨーロッパや米国は20℃前後からという話もあったので、いま改めてそうなんだろうなと感じています。

また、「ここは純温泉だからいい湯なんだ」とこれまた純温泉についての説明が始まりました。
純温泉の定義としては「源泉をそのまま利用している温泉であること」ということで、いわゆるちゃんと源泉かけ流しで提供している温泉のことのようです。
特別良い温泉はAランクですが、なんでも100件中6件のうちの一つだという。
ぬる湯の良さとこの温泉の良さについてしばらく熱く語られました。
最初は結構圧を感じましたが、それだけ魅力を持った温泉なんですねぇと、お話が弾みました。
頑固なおやじさんなんだろうなぁとおもいつつも、個性的な魅力を持った方でしたね。
「お部屋」山が望める和室

宿泊したお部屋がこちら。シンプルなお部屋でした。

窓際には紅葉した木々が見えて美しい。

窓をのぞき込むと、雄大な景色が広がりました。素晴らしい。

朝にはご覧のような景色が広がってました。
紅葉の奥深く美しい景色、奥には白根山も見えますね。
流石「白根の見える丘」という名前の通りですね。空気も美味しく最高の時間でした。
朝起きてこんな景色だったら・・・一度想像してみてください。壮観ですよ。
「温泉」ぬるめの弱アルカリ性泉
温泉は大浴場と露天風呂が楽しめます。
お客さんも2組だったので、どちらも貸切で利用させてもらいました。
源泉が56℃と高めなので、量などの調節で良い温度にしているのかなと思います。
| 源泉名 | 尻焼温泉(根広共有泉) |
| 泉質 | カルシウム·ナトリウムー硫酸塩·塩化物温泉 (弱アルカリ性低張性高温泉) |
| 源泉温度 | 56℃ |
| 湧出量 | 367 L/min |
| pH値 | 7.9 |
あつ湯とぬる湯の「大浴場」
まずは内湯の方から。

こちらですね。2つの浴槽があり、源泉の流れる右手が熱め、左手がぬるめになってます。

内湯ですが、窓の向こうには奥深い山々が望めます。
こちらの温泉は無色透明、においもなくスタンダードなものでしたが、入った時の心地よさがありいい温泉だなと感じました。
熱めの方は41℃ぐらい?なので温いほうでゆっくり楽しみました。

ちなみに洗い場は少ないですがこんな感じ。年季は感じましたがきれいに掃除をされてました。
紅葉の絶景でぬる湯の「貸切露天風呂」
続いては貸切で入れる露天風呂。一度宿の外に出て向かいます。

小屋の前には真っ赤な葉が美しく紅葉してました。こちらの紅葉の色付きは見事でしたね。

そして温泉がこちら!山々の紅葉が望める絶景。
色々な露天風呂に入ってきましたが、ここまできれいな紅葉を見ながら温泉に入れる機会は初めてでしたので、感動でした。
普段紅葉を見る場合は人の多い場所ですが、ここは独り占めできちゃう最高のロケーション。
しかも温泉付き。贅沢すぎるでしょ!
そして温度がかなりぬるめ。38~39℃ぐらいだったでしょうか。
このおかげで素晴らしい景色を永遠に眺め続けることができました。

見てください、心が洗われるようです・・・。
空の青、紅葉の赤、黄、グラデーション綺麗すぎやしません?!
なんという贅沢な時間だったでしょうか。最高でしたねぇ。

また、夜になるとこれまたいい感じの雰囲気。
灯り一つで周りは暗く、よりリラックスできる時間です。

見えますかね、上空には遮るものがなく、美しい星空も。
ぬるいからストレスなく温泉に入っていられるし、本当に安らぎました。
ちょっと夜は寒かったですけどね(笑
「料理」宿主こだわりのメニュー
続いて料理はおやじさんが山を下りて4時間かけて汲み上げる名水を使い、自家製の食材を使用するこだわりっぷり。
その素材の良さを生かした料理はどれも美味でした。
自然の素材を活かした「夕食」

夕食は専用のお部屋でいただきました。椅子もふかふかで心地よい。

自家製の豆腐は濃厚な味わい。ザラっとした食感がいい感じ。
いくつかお好みのものをつけていただきました。
豆腐だけでこの満足度!こだわりがうかがえました。

こちらも自家製のこんにゃく。これは食物繊維が豊富なお通じが激的に良くなる!と自慢の一品でした。
実際次の日も素晴らしい快便でした 笑。便秘気味な人にも嬉しい一品。

こういった小皿の料理も一つ一つ丁寧。素材は旦那さんで料理は奥様が作っていたようで、素晴らしいコンビネーションでした。

サラダもドレッシングにこだわりがあり、美味しかったなぁ。
そしてマイタケのフライもジューシー。
全体的にヘルシーで体にいいメニューばかりです。

お鍋はキノコのうまみがたっぷり詰まっていました、出汁がうまかった。
うどんも入っていて満足度も高し!

川魚を朴葉?で煮込んだ料理。この白いソースがクリーミーで美味でした。

ご飯は色味が美しい雑穀米。もちっとした食感がおいしかったですし、これまた体にいいものを使ってます。

最後のデザートまで大満足の夕食でした。
ちなみに、食事の後半は宿のおやじさんがやってきて、色々話をしました。
以前ミュージシャンを目指していたそうで、そんな苦労話
客のエピソード話(車の道が狭くていきなり怒る人、女性の●●を集める人など・・)
映画のNo.1は東京物語だ
などなど・・・話が尽きませんでした。
最初は頑固な人やなぁと思ってましたが、色々話を聞くと面白い人だったんですよね。ちょっとお茶目でかわいらしい一面を聞けてよかったと思ってます。
Vol.16/尻焼温泉 白根の見える丘・中村 善弘 | 温泉達人コレクション
この方についての詳しいお話がこちらのサイトで見られるようなので、よろしければ見てみてください。
お腹に優しい「朝食」

朝食がこちら。脂っこくないヘルシーなメニュー。

黒豆の納豆は珍しいですが、何とも言えぬ美味しさでした。からしでなくてわさびを使うのも新鮮!

甘く味付けされた魚の煮つけ。ご飯が進む一品。

卵は2つついており贅沢。良質な栄養をたっぷりいただきます。

ご覧のように目玉焼きでもいいし卵かけご飯でもいけちゃいました。
目玉焼きはその場で焼くので熱々を食べられるのが最高です。
「まとめ」素晴らしい宿をありがとうございました
尻焼温泉「白根の見える丘」。忘れられない宿になりました。
宿主の頑固ながらお茶目な人柄がとても印象的で、今でも思い出されます。
- ぬるめの温泉とロケーション抜群の景色
- 素材にこだわった料理の数々
- おっちゃんとの他愛のない話
すべてが私の思い出です。
今は閉業してしまった宿ですが、
素敵な方と素敵な宿があったことをこの記事を通して伝えられればうれしく思います。
白根の見える丘、ありがとうございました。
