宮城県の温泉地はたくさんありますが、温泉通ならみんな知っている場所はどこでしょうか?
それはおそらく大崎市の「鳴子温泉郷」になるでしょう。
鳴子温泉郷は大きく分けて
鳴子・東鳴子・川渡・中山平・鬼首
とあり、個性的な泉質も多く、温泉マニアには広く知られているところです。
そんな鳴子温泉郷の、おそらく東鳴子の中に属するであろう人気温泉のひとつ、それが赤這温泉(あかばいおんせん)の「阿部旅館」です。
こちらの宿は「みんな大好き阿部旅館」や通称「あべりょ」などと呼ばれ、多くの方に親しまれている旅館です。
うわさによると常連の方は宿の方に毎度お土産を持っていき、感謝の気持ちを伝えているとか。
それほどに魅力を持った阿部旅館、私も何度も訪れているのですが、その魅力を紹介していきます。
こちらの宿は貸切で入れる浴槽が二つあり、それぞれ異なる泉質を持つ温泉が楽しめます。
また、料理は三代目の若女将が手作りでつくってくださりどれも絶品。
そんな温泉や料理など魅力いっぱいの旅館です。
赤這温泉「阿部旅館」
住所 | 〒989-6711 宮城県大崎市鳴子温泉赤這125−1 |
TEL | 0229832053 |
日帰り入浴 | 500円(小学生300円) |
営業時間 | 9時~14時 |
X(Twitter) | 赤這温泉 阿部旅館(@satominbuu)さん / X |
赤這温泉 阿部旅館 宿泊記録
宿について
宿の最寄り駅は「鳴子御殿湯駅」になるでしょうか。
その駅付近には東鳴子温泉の宿がいくつもあるのですが、阿部旅館はその近くの江合川をはさんで反対側にあります。
宿の入り口は坂道でなおかつ狭めなので、車で行く際はご注意ください。

宿の脇を通って奥には駐車場があります。こちらもちょっと狭めです。

こちらですね。旅館というか普通の一軒家のようなたたずまいです。
ちなみに宿の後ろには温泉神社がまつられております。

時間があれば感謝を伝えるのも良いかもしれません。
お部屋は予約するときによって異なるのですが、私の知る限り大きい部屋、通常のお部屋がありました。

こちらは二部屋分ぐらいのサイズ。開放的です。

でっかい冷蔵庫が置いてありました。

テレビもあります。
トイレは基本的に共同になります。
そしてこの時にはエアコンはどこにもありませんでしたが、2025年の7月より順次エアコンが投入されるようです!(ない部屋もあるので必ず使えるとは限らないようです)
夏場は正直熱かったのでありがたいですね(笑
またWi-Fiもついてるのでそこも安心ですね。

窓からの景色も見晴らしがよかったです。エアコンない場合は窓を開けて風を入れてましたね。

ちなみにこちらは別の日に訪れたお部屋。こんな大きなお部屋もあります。
入れたらラッキーですね。

また別の日に訪れたお部屋。こちらは一般的なサイズでした。

2階からは屋上に行くこともできます。涼しい時期なんかは風が気持ちよさそうです。(写真は雨で見た目悪いですが・・)
温泉について
それではメインの温泉に参りましょう。

浴場へはこちらの暖簾をくぐっていきます。

浴室は写真のように奥と手前の2か所あり、空いていれば貸切で入れるシステム。


ご覧のような貸切のお札を扉にかけて使用します。
あまり長湯すると他のお客さんもいるのでモラルある対応が大切ですね。
左側の浴槽
源泉名 | 赤這温泉3号 |
泉質 | 含硫黄ーナトリウムー炭酸水素塩・硫酸塩泉 (低張性中性高温泉) 旧泉質名:含重曹芒硝一硫黄泉 |
源泉温度 | 71.8℃ (使用位置:44℃) |
湧出量 | – |
pH値 | 7.2 |
色 | 無色透明 |
味・におい | 硫化水素臭を放ち、甘味を有し、中性である |
(温泉分析書より)
左側の浴槽、こちらは「赤這温泉3号」の源泉。
見ていきましょう。

じゃーん。これが「赤這温泉3号」が源泉の浴槽。

湯口から絶えず源泉が流れ出しております。
こちらの温泉の温度は、使用位置が44℃となっているためかなりの熱さ(源泉が71.8℃なので加水しているようですが・・)
なので普通に入るとなかなかにしんどいです(笑
そのためにとなりに水が出る蛇口があるのです。

私はこれをガンガンに入れちゃいます。(ほかの人も使用するのであまりやりすぎると良くないですが・・節度を持ってね)

床には大量の白い湯の花が沈んでおります。もう片方の温泉にはあまり見られないので貴重ですね。

湯口の奥にも白い湯の花がたまっているのが分かります。これがトロトロなんですよね。
こちらの泉質はオイリーな香りが特徴。単純な油臭とはまた異なる独特な感じです。
表現するのがとっても難しいので一度においを嗅ぎにに行ってほしいところですが(笑
そして肌触りはベタベタするような感覚です。
日によってはさらに大量の湯の花が「卵スープ」のように舞ってるので、その贅沢感はここでしか味わえないでしょう。
貴重な源泉です。
なお、話によると同じ東鳴子温泉郷の宿「高友旅館」にも同じ温泉が供給されているようです。高友旅館も温泉マニアの中では有名な宿なので行ってみてほしいところです。


ちなみにシャワーの設備はなく、あるのは蛇口のみ。

そして石鹸が一つあるのですが、共同なのですぐになくなることもしばしば。
アメニティはこちらで用意しておくのが一番良いかと思います。
右側の浴槽
源泉名 | 赤這温泉1号·赤這温泉3号 混合泉 |
泉質 | ナトリウムー炭酸水素塩·硫酸塩泉 (低張性中性高温泉) 旧泉質名:含芒硝一重曹泉 |
源泉温度 | 62.1℃ (使用位置:41.8℃) |
湧出量 | – |
pH値 | 6.8 |
色 | 薄黄色にして、濁り少々あり |
味・におい | 微かに鉄分味を有し、 硫化水素臭を放ち、中性である |
(温泉分析書より)
右側の浴槽、こちらは「赤這温泉1号·赤這温泉3号」の混合泉。
見ていきましょう。

こちらです。
パッと見た感じは左側と左右対称で変わらないようにも感じますね。


湯口付近には析出物による突起が見られます。ボツボツです。

湯口も左側と同様な作り。
お湯が落ちている下のタイル周りは成分の影響で変色してますね。温泉のパワーはすごい。
こちらの温泉は使用位置が40℃ほどであり、なおかつ加水もないようなので、成分の濃さでいうとこっちに軍配がありそうです。
そして左側ほどではないですが、茶色い湯の花が見られました。
温度も左と比べてぬるめなので、比較的入りやすいです。
ただ左のような蛇口がないので、熱い場合は洗い場の蛇口をうまい具合に浴槽に投入しないといけないので、ジャバジャバとうるさくなってしまうのが難点(笑
そもそもそういった方法で利用する人は少ないでしょうが、ぬるくしたい場合はちょっと面倒かも。
こちらの温泉はほんのり濁り湯で、鉄のような香りとわずかなオイルのような香りが混ざった不思議なにおい。こっちもまたあまり嗅いだことのない独特な香りです。
2つの浴槽どちらも個性があってとてもおもしろい!
鉄の成分があるからなのか、入った後の温まりもいいです。寒い季節なんかは重宝するでしょう。
食事について
料理は三代目の若女将が腕によりをかけて作ってくださる手作り。
料理もこの宿の大きな魅力といっていいと思います。

どうですか、めちゃくちゃおいしそうでしょう?

アスパラにもほんのり味付けがあり、何とも絶妙。

定番の茶わん蒸しに明太子を乗せた一品。

お刺身も鮮度があっておいしい。

お魚の味付けも本当に絶妙で、ご飯がめちゃくちゃ進むんですよ。
どれひとつとして無駄な料理がないのが素晴らしいです。
せっかくなので別の日に訪れたときの料理も。

お刺身、なす、お魚などのベースは変わりませんが、毎回アレンジした料理がいいですね。
いろいろな料理を作るおかみさんも大変だと思いますが、連泊の方には違う料理をふるまっており、頭が下がります。
これは何泊もしちゃいますね。
朝食も見てみましょうか。

朝も豪華ではないですが、定番の温泉卵、サバなど食欲をそそるメニュー。

しそ巻きは宮城県の郷土料理だそうで。サクサクのしそがおいしい。

違う日のメニューがこちら。これまた定番の鮭や卵焼き。

絶妙な甘さの卵焼きは見た目も美しいですが味も絶品。
舌のセンスがいい方の作る料理って何でもおいしいんですよね。ただただ拍手です。
全体的にステーキ!とか天ぷら!などの豪華な料理ではないんですが、家庭的でご飯が進む料理こそ実は一番うまいじゃないですか。おふくろの味っていうんですかね?
そんな温かい料理が食べられるのはここだけです。
以上、赤這温泉「阿部旅館」でございました。
貸切で入れる2つの温泉、それぞれが個性を持った珍しい泉質。
そんな温泉を何度も楽しめるお宿。
そして若女将の温かみのある手作り料理。
心も体もチャージできる素晴らしい旅館です。
そしてとても人気で予約が取りにくい宿なので、気になったらなるべく早くご連絡することをお勧めします。
予定はX(Twitter)で随時更新されているようですので、チェックしてみてください!